とある来栖ファンプラス1のだらだら続く会話文SSその3。
シリアスになりきれない軽いシリアス。
「なー、ホントに行くのー」
「行く」
「なー、止めとこうってー。怪我するだけだってー」
「うるっさいわね、逃げないって言ってるでしょ」
「そんなに頑張らないでさー、ねー彼女さんー。命大事だってー」
「それ以上言ったら別れる。」
「…ッああもうこれだからー!」
「大変ですねー。でもほら大丈夫ですよ。僕が付いてますから。」
「……余計安心できねぇ。」
「どういう意味ですか。」
「だからさー、彼女さん、別れるのはすげぇ嫌で世を儚んじゃうくらい考えたくないけど!…もう一回だけちゃんと聞いてよ。」
「無視ですか」
「タナトスの時じゃないんだぜ?怪我したら、ええと考えるのも嫌だけど!もし…死んだら、そこで終っちゃうんだぜ?だから、頼むから、そんな頑張らないでくれって」
「やっぱり無視ですか」
「ああもうしつっこい!何度も聞いた!行きたくないなら来るなって言ってるでしょ。あたしはキョウが居るからスチルショット扱えるし、これでも心得はあるし!バッキー持っててコレに参加しないなんて何のためのムービーファン。
…あんたこそバッキーも持ってないじゃない、来ないでよ!弱いんだから!」
「うわ、はっきり言うなぁ」
「だから通信教育の護身術で威張るなつってんの!それに彼女さんが危ないとこいってて彼氏が逃げられるはずないだろ!?おっしゃる通り役に立つ自信全く全然これっぽっちもありませんがっ!」
「そこで胸張るな」
「ある意味強いですね。」
「張ってねぇよ!ええとそれに、だから、ムービーファンが戦争に参加しなくちゃいけないなんて、そんなはずないだろ。銀幕市から出ていこうって言ってるんじゃないんだ、いやその方が安心だけど、それこそ彼女さん聞かないってわかってるし、だからせめて家の中に居ようって、そう言ってんのっ! こういう言い方はアレだけど本職に任せればいいじゃん!彼女さんが危ないことすることない!」
「ああもう、何も前線に出るって言ってるわけじゃないでしょ?スチルショット持って備えてるだけよ。相手は幾らでも兵隊だして来るらしいんだから。ファンは一人でも多い方がイイに決まってるじゃない、大体あそこに立つバッキー持ちに本職がどれだけ居ると思ってんの!?…それに寝覚め悪いわ、役に立つのに閉じこもってるなんて!」
「本職じゃないのに強いヒトは結構いますよね。何故か。お師匠とか。」
「そう!珍しくルーチュンの言う通りだろっ!?強い人はたくさんいるの来栖とか!彼女さん足手まといだってー!………ッああもうはこっちだよ!何でそう勇ましいかなぁ!?」
「珍しくとは失礼な。」
「なんでって、この街に何年粘ってると思ってんの。っつか大事な来栖は怪我してもいいの。」
「彼女さんが怪我するのが一番嫌だっ!」
「! あんた…!」
「言い切りましたねー」
「さっきから煩い黙ってろ李如春。」
「失礼。もう喋りませんから怖い顔で見ないでくれませんか。恐ろしい。」
「ッてめ、彼女さんにそんなこというなっ!」
「あなたまで。」
「うるさいうるさいうるさいっ!…っああ、もう……っ!……………。」
「あれ、もう諦めるんですか?案外早…すいません黙ります。」
「一生黙ってろ。……千明。何言ってもあたしは行くからね。っていうか、嘘でもあたしが無事なら他はどうなってもいいなんて言わないでよ。ゴキブリも殺せないくせに。…あんた、くるたんが死んだら本気で泣くじゃない。」
「ここでくるたん……」
「…何?」
「あ、つい。…いや何でもありません本当にもう黙りますからバッキー離してください目が本気ですよ。
3、2、1、はい、黙った!……………」
「……お口にチャックってこの野郎は………」
「………………」
「………………」
「………………」
「……決めた。俺が行く。」
「……は?」
「つまり、バッキー持って行けばいいんだろ。俺が、その子借りて、それで行けば問題ない!決まり!彼女さんは、お留守番! はい決定! 終わり!」
「………あの、ねぇ……」
「っだよ、これでいいだろ!?」
「…彼氏が危ない場所に居て、彼女が逃げられるはずないじゃない。」
「……っ」
「それに、悪いけど、無理なの。ファングッズって飼い主とそのバッキーでしか使えないの。」
「……っはあ!?何で!?」
「何でって、それはよくわからないけど。説明書には飼い主との結びつきどうこうって書いてあったけど……だから、ごめんね。無理。」
「…っキョウ……っ!」
「キョウ睨んでもしょうがないでしょ。だから、とにかく、諦めて家にいて。大体、今度のはタナトス兵団程危険でも、」
「ッ由依子の大馬鹿者――っ!」
「何ですって!?…コラ、待ちなさいどこ行く気!」
「ッ頭冷やしてくんの!帰ってくるまで先に行くなよ!?」
「はあ!?ちょ……っ!」
ガチャン!
「……どういうつもりよ」
「………………」
「……………」
「……何、李如春。手なんか上げて。」
「あなたが喋るなと……いえ何でも。…戻ってくるんでしょうね、千明くん。そして一緒に行くんでしょうね。」
「…うるっさいなぁ、そんなことわかってるんだけど。」
「愛されてますねー」
「だから煩いって。……で?」
「はい?」
「何が言いたいの。」
「はあ。それだけですが。…あえて言うなら僕は彼氏さんの言い分の方が正しいと思うな、と。」
「…それもわかってるわよ。」
「では、何故と聞いても?」
「…頭でわかるのと心でわかるのは別なの。あんたにはそれ以上言いたくない。
…そういえばあんたいつまで家に居座る気?」
「今それを言いますか貴方。」
そして彼氏さんは結局家に戻ってきて一緒に行きました。なんだかんだいって離れられない二人です。
ちなみに僕は安心して留守番ですよ。
追記
(今度の作戦はやっぱりタナトス兵団の時よりは深刻度低いんじゃないかな、と思いつつ、「死んだら終り」が頭から離れない彼氏さんとか。この二人はあの時も駆け回ってました。逃ゲヨウネ。
そして李如春さんのKYっぷりはどこまで許されるんだろうなぁ)
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