遊楽日記 |
焦らず気負わず気ままに迷走中 |
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幼い頃の私の周囲には、ミステリ、それも頭に古典と付く類の推理小説ばかりが溢れていた。
ポー、ドイル、クイーンにダイン、それと壱番世界では名を残せなかった幾人か。
少しでも名を知られたものであれば手に取って一通り読みはしたが、ミステリが好きなのかと問われると返答に困る。今はむしろ嫌いな方だ。
ミステリを嫌う理由については割愛するが、かつても退屈した子供の手の届く場所にある、読み慣れた筋だからという、それだけの理由で手に取っていたように思う。
だから年齢を重ね読書以上の興味と熱意を注げる対象を見つけ、不本意ながら現実の殺人事件に煩わされるようになる間に自らミステリを手に取ることはなくなっていたのだが、あの年頃に触れた世界というのは中々忘れないものらしい。
退屈極まりない独房に押し込まれ、退屈凌ぎも一通りやり尽くした末にふと辿り着いた暇潰しは、数多の前例に倣って《記憶に残る事件を推理小説に仕立てあげること》――だった。
探偵役として都合の良い人物を知っている。
職業も立場も考え方も全く違うくせ、行動を共にすることが多かった、ターミナルでは恐らく唯一友人と呼べた相手だ。
彼も私も何故だかよく人の死ぬ事件に巻き込まれた。示し合わせていたわけでは勿論ない。
何が引き寄せていたのか知らないが、時も場所も選ばず死に出遭うのだ
彼と共に行動するときに遭遇する事件は大抵、それこそ推理小説にあるような謎の気配を纏っていた。
私と違ってミステリを好む彼には望むところであったらしい。運良く謎解きの才覚も持ち合わせていた彼は、人間の屍を前に笑みさえ浮かべて謎を解きほぐしていった。
私は単なるオマケだ。それを眺めていただけだ。その方が良かった。私は謎解きには向かないし、何より面倒だ。他人の厄介事を解きほぐすなんて仕事は、やりたい人間が行えばいい。――彼自身が厄介な性格の持ち主でもあったのだが。
結果として、彼は、いつの間にか素人探偵と呼ばれていた。
さて。これから私は彼と共に遭遇した記憶に残る数多の事件のうち、比較的単純なひとつを《推理小説》として紙上に再構成するつもりなのだが、推理小説の体裁を取るからには先に記しておきたいことがある。
まず私自身を含む登場人物は「」で括られた台詞としては嘘を吐くかもしれないが、私自身が見たもの、聞いたものについて記した文章に偽りはない。あえて書かない事はあるが、謎解きには関係ない、個人的なことばかりだ。
それともうひとつ。ここは独房だ。私にこの小説を外に広める気は全くない。コレを読もうとする何者かは、記述者である私がどういう人間か知っていて読むのだと思う。
これは親切心から先に記しておくのだが、残念ながら、この事件では貴方の期待には応えられない。
殺人犯として此処に投獄されている《私》こと由良久秀は、この事件に於いて誰も殺していない。
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命運尽きて収監されてるらしい設定。
紙と筆記用具があるあたり自由そう。
文章での一人称は『私』。いつかこんなような推理小説仕立てやりたい。
しかし 書き方が くどい
追記
くどいので書き換えましたが余計くどい。